札幌市次世代住宅に補助金だって

札幌市次世代住宅に補助金

札幌市は10月3日、第3次新まちづくり計画案を発表した。上田文雄市長が先の市長選で掲げた公約のひとつ。11~14年度の4ヵ年で事業総額5800億円を計上。テーマは①子供の笑顔があふれる街②安心して暮らせるぬくもりの街③活力みなぎる元気な街④みんなで行動する環境の街⑤市民が創る自治と文化の街―の5つ。それに基づいて設けられた13の重点課題を柱に、300事業が盛り込まれている。上田市長は「北海道の拠点都市に相応しく、札幌市独自の新たな価値を創造していく」と語った。

 上田市長が発表した第3次新まちづくり計画(案)のコンセプトは「新しい価値を創造するまちづくり」。そのうち、建物の省エネ化を目指す重点政策「みんなで行動する環境の街」の中で、住宅分野に関わる目玉事業として挙げたのが、「札幌版次世代省住宅基準」。
 札幌市は10年度、産学官の連携による技術検討委員会を立ち上げ、制度設計を進めてきた。具体的な施策の実施に当たって4ヵ年で2億円を盛り込んでいる。

 ■10年度に検討開始
 札幌市が札幌版次世代住宅基準の創設に乗り出したのは10年度から。09年度に上田文雄市長が今川建築設計監理事務所(本社・北広島市)の設計したパッシブハウスを見学したことが切っ掛けとされる。
 同住宅は壁の断熱厚が465㎜。熱損失係数(Q値)0.47W/㎡kで、暖房設備はエアコン1台。換気設備の熱回収や給湯設備、生活熱などを加味すると「ほぼ無暖房で暮せる」というもの。
 「環境先進都市」を標榜する札幌市は、パッシブハウスを民生部門の省CO2削減の切り札に捉え、10年度には年間500万円の研究費を予算計上し、建築部建築企画課の所管事業として制度設計を急いだ。 
 制度設計に向けた推進母体として組織したのが、北大大学院工学研究院特任教授の繪内正道氏を座長に福島明(北海道立総合研究機構建築研究本部企画調整部長)、斉藤雅也(札幌市立大学デザイン学部専任講師)今川祐二(今川建築設計監理事務所社長)、岡本啓(日本政策投資銀行道支店次長)の5氏で構成する技術検討委員会。
 10年9月の発足から11年3月までに6回の委員会を開催。Q値1.6~0.5W/㎡kまでを5つのカテゴリーで区分する技術基準やラベリング制度など性能表示の仕組みづくりを柱とする提言書をまとめ、年度末に提出した。

 ■普及目標279戸
 独自基準を策定するに当たって、技術検討委員会で論議されたのが普及に向けたインセンティブのあり方。高性能住宅の基準自体がいかに優れていても、市場性を無視したコスト設定であれば、制度創設までに膨らんだバルーン(風船)は萎みかねない。
 札幌市は第3次新まちづくり計画案に盛り込んだ予算をベースに、同基準認定住宅の支援目標を279戸に設定。現在、住宅1戸当たりの補助額を検討しており、「性能レベルに合わせ、50~250万円を交付する」方向で調整が進んでいるもよう。
 最高スペックとして掲げる「トップランナーレベル」の技術基準はQ値0.5W/㎡k。道が推進する北方型住宅ECOの取り組みなどによって断熱に関するコストダウン化が進んだ本道の住宅市場であっても、高断熱化によるコストアップ分の吸収は難しい。本紙が取材した繪内教授へのインタビュー(10年11月25日号に記載)では「札幌市が環境先進都市の推進に本気で取り組み、その姿勢を示すフラッグシップ(旗印)としてトップランナーレベルを推奨する場合、1戸当たり200万円超の補助額は必須」と語っている。
 同市は11年度、補助額の具体的な検討を進める構えだが、1.0W/㎡kを基準とするスタンダードレベルで高性能住宅の供給量を確保することで質のボトムアップを図る一方、札幌版次世代住宅基準を創立するきっかけとなったパッシブハウス(トップランナーレベル)についても先進的なビルダー・工務店を支援できるインセンティブを設定するもようだ。
(北海道住宅通信 2011年10月10日発行号)

こんなプロジェクトが札幌市で、幕別町出身の上田市長が発表しました。十勝では地域振興券を幕別で10万、帯広で40万補助してはしていますが、札幌市の様に住宅の性能に対する補助の方が今後のCO2削減、省エネ住宅の方向づけと工務店のレベルアップになると思います。

本来であれば北海道での取り組であるべき内容ですね、高橋知事にトップダウンでこれらの政策を進めて頂きたいと勝手に思っています。

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