防災・減災講演会より
地震小規模でも被害多大
内陸の活断層による直下型地震は、阪神・淡路大震災(1995年、死者6434人)、新潟県中越地震(2004年、同68人)、岩手・宮城内陸地震(08年、同17人)などたびたび起きる。十勝では足寄から本別、上士幌、士幌、音更、帯広、更別を経て幕別町忠類にかけて南北に分布する活断層「十勝平野断層帯主部」(長さ約84キロ、想定される地震の規模は最大でマグニチュード8)と、大樹から広尾に至る「光地園断層」(同26キロ、同7.2)があり、内陸直下型の大地震の恐れがある。
■直下の浅い場所で起きる
この活断層を調査した平川一臣北大大学院特任教授は「とかち防災・減災講演会」(18日)で「地震の規模が小さくても、直下の浅い場所で起きるため大きな被害が出る」と注意を呼び掛けた。
十勝平野の活断層は、太平洋の沖合で沈み込むプレートの動きによって、千島島弧(とうこ=島の連なり)が北海道に衝突する東からの力に押されて動く。この東からの力は日高山脈をつくり、道内のほかの断層帯(石狩低地東縁断層帯主部、函館平野西縁断層帯など)もつくっている。
■新たな断層は西側に
十勝の活断層は東側に沈み込む傾斜で、地下約20キロまで続いているとみられる=図上参照。東からの力に押されて上昇した地面は丘陵(音更・長流枝内丘陵)や台地(幕別台地)をつくっている。
各断層は北から「押帯断層」「東居辺断層」「稲穂断層」「士幌川断層」「音更川−札内川断層」「旭断層」「緑が丘断層」「途別川断層」「茂発谷(もあちゃ)断層」「以平断層」「光地園断層」と名前がある。平行して断層が走るのは「地下で一枚の断層が地表面で分かれるため」。次に活断層が動いて地表に断層が現れるとしたら「今ある断層のさらに西側に出てくるだろう」と平川教授は語る。
■建物の耐震化を
国の地震調査研究推進本部は、十勝平野断層帯主部の平均活動間隔は1万7000〜2万年程度(前回の活動時期は不明)、光地園断層は7000〜2万1000年(同約2万1000年前以後に2回)と推定する。いつ活断層が動いて地震が起こるかの予知は不可能だ。「地震は不意打ちで起こる。自分の住む場所の足下をまず知ること。活断層の地震に備えて建物の耐震化を進めることが必要」(同教授)と訴える。